。ツバメにとって産卵床と云うのは、卵を産んでヒナが巣立つまでの約一ヵ月半利用するだけの場所であって、スズメのようにそこで寝て暮らしている訳ではありません。
。ですから、ツバメの兄弟は何羽だろうと一斉に巣立つ必要があるんです。数年前には一羽だけ産卵床に取り残されてしまったケースを観察しましたが、そうなると大変なんです。
。ツバメのお母さんは巣立った幼鳥の飛行訓練に専念します。産卵床に取り残されたヒナは餓死してしまうのか?
。藪さんがツバメの社会には子育てを手助けするヘルパーさんがいると何度も書いてきているのはそこなんです。産卵床に残ったヒナにはヘルパーさんがエサを与え続けます。それはいいんですが、横着なヒナもいます。
。お母さんが外の電線や産卵床のそばにきて、残ったヒナに巣立つように盛んに呼びかけているのに巣立とうとしないんです。産卵床にいればエサを持ってきてくれるのでどんどん太って、親よりも大きくなっているのに巣立たない。
。その時のおデブちゃんは五日遅れくらいで巣立ちました。太ってるからなかなか飛べなかったけど。飛行訓練中のお母さんとはぐれてしまうと思われるかもしれませんが、お母さんは産卵床のそばで飛行訓練をしているし、地域のオスのヘルパーさん軍団の連絡網はしっかりしているので、ツバメの幼鳥が一羽だけはぐれたりはしませんし、自分のお母さんの飛行訓練だけではなく、他のお母さんのグループに加わる事もできるんです。
。つまりツバメと云うのは、メスが単独で子育てをしているのではなくて、地域のオスのツバメたちがヘルパーさん軍団を形成していて、集団的子育てをしているんです。
。記事が長くなって恐縮ですが、ここの柳町小学校前の半地下駐車場の大きな棚の産卵床は、今年のセカンドランで新たに作られたものです。三兄弟の大きさにかなりのバラツキが見られます。手前のは小さ過ぎ、真ん中のは親より大きく、向うのはその中間。
。こんなに大きさにバラツキがあったら同時には巣立てません。経験豊かなお母さんならば、手前の小さなヒナに重点的にエサを与える筈です。でもこの動画では、向こうと真ん中にしかエサを与えず手前には与えてません。
。それらの事を考えると、ツバメは個体によって子育ての巧拙があるんだと思われます。この状態では、真ん中のヒナは太り過ぎで飛べないし、手前のヒナは成長不足で飛べません。果たして無事に巣立てるのか? (^∇^)
https://www.youtube.com/watch?v=g_a0kk9GQ78
撮影データ・・・平成28(2016)年7月23日(土)午前11時 柳町小学校前